結論|損害賠償されるケースはごく稀。ただし「あり得る話」として知識は持っておこう!
退職代行を使ったことで、あとから損害賠償を請求される──そんな心配をしている方も多いのではないでしょうか? 実際には、損害賠償を請求されるケースは「極めて稀」です。しかし、可能性としてゼロではありません。 この記事では、総務歴20年の筆者が「どんなときに損害賠償されるのか」「請求されたらどう対応すればよいのか」など、実務の視点と現行法に基づいて、わかりやすく解説します。
なお、実務上「損害賠償」として不安になりやすい事例は、研修費の返還請求・備品未返却・社宅退去トラブル・引き継ぎ不足によるクレームなどです。結論としては、これらも多くが“請求される=必ず支払う”ではありません。
退職代行=損害賠償される?まず前提を整理

タックス、最近『退職代行を使ったら損害賠償されるかも…』って不安に思ってる人、多いみたいだぞ。

ネットでもよく見るな。でも実際、そんなことってあるのか?

結論から言えば、退職代行を使ったからといって賠償請求されることは、通常考えにくい。ただし、業務に重大な支障をきたした場合には、損害賠償の主張がなされる余地はある。
法的に損害賠償が成立するための要件
- 労働者が退職時に、故意または過失(落ち度)があること
- 実際に会社に具体的な損害(実害)が発生していること
- その損害と本人の行為の因果関係が説明できること

つまり、“ただ辞めた”だけじゃなくて、“会社に損害を与えるような辞め方”じゃないと請求されないわけか

そう。たとえば引き継ぎゼロで退職し、顧客に多大な迷惑がかかるなど、社会通念上著しく不相当な辞め方が対象になりうる。でも、こうしたケースは実際にはごく限られている。
【読者の疑問を解消】どんな時に損害賠償があり得る?具体的な事例
ここで紹介するのは「退職代行を使ったこと自体が原因」というより、退職前後の行動や返却・退去・情報持ち出し等をきっかけに、会社が“損害賠償”を口にする典型パターンです。
なお、以下の事例は「請求されやすいパターン」を整理したものです。請求された=必ず支払う、ではない点を押さえたうえで確認してください。
事例1:研修費・資格取得費を「辞めるなら返せ」と請求された
よくある請求例:
「会社が払った研修費(講習費・交通費・資格費用)を返還しろ」
結論:
多くは、直ちに支払義務が確定するとは限りません(合意書の有無や内容次第で判断されます)。
ただし、例外として「返還条項」があり、それが合理的な範囲で有効と判断されるケースもあります。
ポイント(判断要素)
- 返還の合意書・誓約書の有無
- 返還額が過大でないか(実費を超えていないか)
- 退職時期を縛る内容になっていないか
対処法
- まず「書面で根拠提示」を求める
- 安易に承諾せず、必要なら弁護士へ
事例2:制服・社員証・PCなどの返却が遅れて請求された
よくある請求例:
「返却しないなら損害賠償だ」「弁償しろ」
結論:
多くは“損害賠償”というより 返還・弁償の問題です。
返却できれば、大半はそれ以上の紛争にならずに収束します(返送方法と証拠の残し方が重要です)。
対処法
- 返送する(追跡できる方法で)
- 梱包前に写真を撮る
- 返送の控え(伝票番号)を保管
事例3:社宅・寮を出ない/鍵を返さないと言われた
よくある請求例:
「退去しないなら賃料相当額を損害賠償として請求する」
結論:
このタイプは 会社側が請求根拠を持ちやすいため要注意です。
「不法占有」「賃料相当損害金」の形で争いになることがあります。
対処法
- 退去日・鍵返却日を決めて書面化
- 退去できない事情があるなら早めに弁護士へ
事例4:引き継ぎができない状態で辞めたら「損害だ」と言われた
よくある請求例:
「引き継ぎをせずに辞めたせいで取引が失敗した。賠償しろ。」
結論:
会社が勝つには、
①具体的損害 ②因果関係 ③本人に落ち度があったといえるか(故意・過失)
を立証する必要があり、現実にはハードルが高いです。
ただし、故意に引き継ぎを妨害したなど悪質性があると別。
対処法
- 退職意思表示は書面で残す
- 引き継ぎ資料は可能な範囲で提出(メール等)
- 証拠(履歴)を残す
事例5:退職時に顧客を連れて行った・競合に転職したと疑われた
よくある請求例:
「顧客を引き抜いた」「営業秘密を持ち出した」等
結論:
このケースは 損害賠償が問題化しやすい“危険ゾーン”です。
競業避止義務・秘密保持・不正競争防止法などが絡む可能性があります。
対処法
- 会社データを私物に残さない
- 退職前後の行動記録を整理
- 早期に弁護士へ(放置は危険)
事例6:SNS投稿・口コミで会社を批判し「名誉毀損」と言われた
結論:
内容次第では争いになります。
真実性があっても表現の仕方で問題化することがあります。
対処法
- 感情的投稿は削除(必要に応じて)
- ※削除前に、投稿日時が分かる形で記録(スクショ等)を残しておくと、後日の説明がしやすくなります。
- スクショ等の証拠は保管
- 弁護士へ
実務ではどうなの?損害賠償のリスク

じゃあ、普通の人が退職代行を使って辞めたくらいじゃ、賠償なんてされない?
👉 退職代行を使っても会社が辞めさせてくれない場合の法的対応はこちらで解説!


よほどのことがない限り、まず請求されないな。とくに、正社員が“精神的な理由”で突然出社できなくなった場合は、むしろ会社側の安全配慮義務の問題になることもある。
ではなぜ“損害賠償されるかも”と不安になる?
- 退職を引き留めたい会社側が“脅し文句”として持ち出すことがある
- 一部ネット記事や動画が不安を煽っている
- 労働者の義務を誤解しているケース(「突然辞める=違法」など)

会社が『辞めたら訴えるぞ!』って言ってくるパターンだな

でも、実際に訴える会社はほぼない。費用がかかるし、労働審判で会社側が不利になることも多いし、何より社外的な印象が悪いからな
【退職代行利用者が注意すべき点】トラブルを避けるために

退職代行を利用する際に、『会社とのやり取りは全て記録に残しておく』ことは大切だな。言った言わないのトラブルを避けるためにも、メールやLINEなどの記録は保存しておくべきだ。

うんうん、それは基本だね。

それと、『会社から不当な引き留めや嫌がらせを受けた場合は、毅然とした態度で断る』ことも重要だ。感情的にならず、冷静に対応することが大切だな。もし、どうしても対応に困る場合は、弁護士に相談することも視野に入れるべきだろう。

そうだね。あと、『退職の意思は明確に伝える』ことも重要だね。曖昧な伝え方をしてしまうと、会社側との認識のずれが生じる可能性があるから。

その通りだ。そして、退職代行業者に丸投げするだけでなく、『自分自身も退職に関する基本的な知識を持っておく』ことも大切だな。この記事を読むことも、その第一歩になるはずだ。
万が一、損害賠償を請求されたらどうする?
- 内容証明郵便や訴状が届いた場合 → 無視せず、必ず弁護士に相談
- 脅し目的や根拠のない請求 → 応じる必要はない(ただし記録は保存)
- 退職代行が弁護士運営の場合 → そのまま対応してもらえる(安心)

じゃあ、弁護士が運営してる退職代行を使えば、請求されても対応してくれるんだな?

その通り。労働組合や民間代行業者では、金銭トラブルの交渉には対応できないから、不安がある人は最初から弁護士型を選ぶのが無難だな。
Q&A
Q. 退職代行を使ったら損害賠償で訴えられることはある?
A. 可能性はゼロではありませんが、会社側の立証負担が重く、実務上はかなり稀です。
Q. 損害賠償として「〇〇万円払え」と言われたら払う必要がある?
A. 口頭・メール段階なら、直ちに支払義務が確定するわけではありません。根拠提示を求め、安易に認めないことが重要です。
Q. 内容証明が届いたら無視していい?
A. 無視はおすすめしません。放置は不利になることがあるため、弁護士相談が安全です。
Q. 退職代行を使うと引き継ぎできないけど大丈夫?
A. “引き継ぎゼロ=違法”ではありません。ただ、可能な範囲で引き継ぎ資料を渡した証拠を残すと安心です。
Q. 会社の備品を返すだけでも「損害賠償」と言われる?
A. あります。ただ多くは返却で収束します。追跡可能な方法で返送し証拠を残しましょう。
Q. 「損害賠償を請求する」と言われたら、まず何を確認すべき?
A. 請求の根拠(何の損害か)・金額の内訳・証拠(いつ何が起きたか)の3点です。口頭で終わらせず、書面で提示を求め、安易に同意しないのが安全です。
まとめ|損害賠償の不安は“備え”で解消できる
✅ 損害賠償を請求されるケースは非常に稀だが、ゼロではない
✅ 成立には「過失」「損害」「因果関係」の3要件が必要
✅ 「請求されるかも」=「必ず払う必要がある」ではない
✅ 弁護士運営の退職代行なら、請求が来ても対応可能
✅ 不安が大きい人ほど、最初から弁護士に依頼を!
👉 弁護士が運営する安心・安全な退職代行サービスを比較した記事はこちら!

※本記事は、企業の総務歴20年以上の「総務部長オッケー」が、実務での経験と法的根拠に基づいて執筆しています。法的アドバイスではなく、退職代行の判断に悩む方への情報提供です。

