自己都合退職と会社都合退職の違いと、失業給付への影響

※本記事は、厚生労働省やハローワーク等の公的情報に基づき、一般的な労働知識を紹介するものです。特定の事案に対する「法的な助言」や「個別具体的な判断・助言」を提供するものではありません。具体的な離職理由の判断や給付内容は、必ずご自身の住所地を管轄するハローワークにご確認ください。当サイトは特定の士業法(弁護士法、社労士法など)に抵触する行為は一切行いません。

自己都合退職と会社都合退職は、どちらも「退職」であることに変わりはありませんが、雇用保険の失業給付については「受給開始の早さ」と「受け取れる日数」に大きな差が出ます。​
特に、退職後すぐに生活費が不安な人ほど、「自分の退職がどちらに当たるのか」を正しく理解しておくことが重要です。​

総務部部下マル
総務部部下マル

部長、いま失業給付の勉強をしているんですが、「自己都合退職」と「会社都合退職」でそんなに違うんですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

マル、これがかなり違うんだよ。特に、失業給付がいつから、どれくらいもらえるかという点で、生活への影響はかなり大きいんだ。​

総務部部下マル
総務部部下マル

どちらも会社を辞めるのは同じなのに、そんなに差が出るんですね…。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そう。だから退職を考えるときは、「辞めるかどうか」だけじゃなく、「どういう理由で辞めることになるのか」まで意識することが大事なんだ。​

結論:退職理由次第で失業給付の「受け取り時期」と「受給できる日数(=総額)」は大きく変わる!

総務部長オッケー
総務部長オッケー

先に結論から言うと、一般的には次のようなイメージで考えておくといい。

  • 自己都合退職:自分の都合で辞めたと扱われるので、給付開始までに「待機+給付制限」がかかり、受給開始が遅くなる。​
  • 会社都合退職:会社の事情で辞めたと扱われるので、原則として給付制限はなく、早めに基本手当が支給される。​
総務部部下マル
総務部部下マル

なるほど…。早く失業給付を受け取りたい人にとっては、会社都合かどうかが重要ってことですね。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そのとおり。さらに、離職理由によって、所定給付日数(何日分もらえるか)にも差が出るから、退職前から情報を押さえておくことが「損をしない退職」につながるんだ。​

自己都合退職と会社都合退職の定義

自己都合退職とは?

総務部部下マル
総務部部下マル

そもそも「自己都合退職」って、どういう場合を指すんですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

簡単に言えば、「労働者本人の意思で退職するケース」だね。​
転職のため、家族の事情、引っ越し、学校への進学、単に「今の会社が合わないから辞める」といった場合は、原則として自己都合退職として扱われることが多い。​

総務部部下マル
総務部部下マル

家庭の事情で退職する場合も自己都合なんですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

多くの場合はそうだね。介護や配偶者の転勤に伴う退職も、一般的には自己都合に分類される。ただし、ハローワーク上は「特定理由離職者」扱いになる場合もあって、その場合は自己都合退職の中でも一部取扱いが異なることがある。​

総務部部下マル
総務部部下マル

なるほど、自己都合の中でも細かく区分があるんですね。

※特定理由離職者については、ハローワークインターネットサービスをご確認ください
(参考:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html

会社都合退職とは?

総務部部下マル
総務部部下マル

じゃあ、「会社都合退職」はどんな場合ですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

「会社の事情で退職せざるを得なくなったケース」だね。​
たとえば、整理解雇、懲戒以外の解雇、会社の倒産、事業所の閉鎖、更新が期待されていた有期契約の雇止めなどが典型例だ。​

総務部部下マル
総務部部下マル

更新してもらえると思っていて、契約更新してもらえなかった場合なんかも会社都合になり得るんですね。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そう。雇用保険の世界では、離職票に書かれる「離職理由コード」で会社都合かどうかが判断される。ここが自己都合と会社都合の分かれ目で、とても重要なポイントなんだ。​

※特定受給資格者(いわゆる会社都合退職に該当するケース)についても、ハローワークインターネットサービスの公式ページをご確認ください。
(参考:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html

自己都合と会社都合で何が変わる?【失業給付の具体的な違い】

①給付開始までの待機期間

総務部部下マル
総務部部下マル

具体的な違いって、まずは「いつからもらえるか」ですよね?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そうだね。失業給付には、まず全員共通で「待期」と呼ばれる7日間がある。​ そのうえで、自己都合退職の場合は、さらに「給付制限期間」が設けられている。2020年10月以降の制度改正を経て、現在では、正当な理由のない自己都合退職の場合、給付制限期間は原則として1か月とされている(ただし、過去5年間に2回以上、正当な理由のない自己都合退職がある場合は、給付制限が3か月となる場合があります)。

総務部部下マル
総務部部下マル

ということは、自己都合だと、退職してから1ヶ月ちょっとはお金が入らないイメージですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

概ねそのイメージで構わない。ただし、病気や家族の介護など「正当な理由のある自己都合退職」とハローワークに認められた場合は、この給付制限は適用されないんだ(特定理由離職者として扱われる)。

対して会社都合退職の場合も、給付制限はなく、7日間の待期期間満了後、制度上は比較的早い時期から基本手当の支給対象となる。

だから、退職後すぐに収入が途絶えると生活に支障が出る人にとっては、会社都合かどうかは非常に重要なポイントになり得るんだ。

②給付日数の違い

総務部部下マル
総務部部下マル

もらい始めるタイミングだけじゃなくて、「もらえる日数」も違うんですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そう。雇用保険の基本手当の所定給付日数は、離職時の年齢、被保険者期間、それから自己都合か会社都合かなどの区分によって変わってくる。​
一般に、同じ年齢・同じ被保険者期間なら、倒産・解雇などの会社都合にあたる「特定受給資格者」の方が、自己都合よりも長い日数が設定されているケースが多い。​

総務部部下マル
総務部部下マル

同じ期間働いていても、辞め方によって支給日数が違うんですね…。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そのとおり。細かい日数は厚生労働省の資料やハローワークのパンフレットに一覧表が掲載されているから、退職前に自分の条件で一度確認しておくのがおすすめだ。​

※基本手当の所定給付日数については、ハローワークインターネットサービスの公式ページをご確認ください。(参考:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html

③再就職手当にも影響

総務部部下マル
総務部部下マル

再就職手当っていう仕組みも聞いたことがありますが、これも自己都合と会社都合で違いが出るんですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

再就職手当は、基本手当の支給残日数を一定以上残した状態で早期に再就職した場合に支給される制度で、離職理由によって支給要件や取り扱いが変わる部分がある。​
基本手当の所定給付日数が長い人ほど、再就職時点での残日数も多くなりやすいため、結果として受け取れる再就職手当の金額に差が出る可能性もある。​

総務部部下マル
総務部部下マル

早く就職すると損をするんじゃないかと思っていましたが、逆に手当がもらえることもあるんですね。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そう。失業給付は「長くもらうこと」が目的ではなく、「早く安定した仕事に就くこと」を応援する制度だと理解しておくといいよ。​

「会社都合」にできるケースとできないケース

離職票の「離職理由」の重要性

総務部部下マル
総務部部下マル

自分は会社都合だと思っていても、会社が離職票に自己都合と書いたらどうなるんですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

雇用保険の実務では、まず離職票に記載された離職理由が前提になる。​
もし、実態としては会社の都合による退職なのに、離職票が自己都合になっていると、給付制限がかかったり、所定給付日数が短くなったりする可能性がある。​

総務部部下マル
総務部部下マル

それは困りますね…。訂正してもらえるんでしょうか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

会社に訂正を依頼するのが基本だが、どうしても会社と話がつかない場合は、ハローワークに相談して事実関係を確認してもらう手続きも用意されている。​
その際、退職勧奨を受けたメールやメモなど、事情がわかる資料が役に立つ。

「会社都合」に変更できる可能性がある具体事例

総務部部下マル
総務部部下マル

どんな場合なら「会社都合(特定受給資格者や特定理由離職者)に変えられる可能性」があるんでしょう?

※あくまで最終的な離職区分の判断はハローワークが行うものであり、必ず会社都合として認定されることを保証するものではありません。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

例えば、次のようなケースが典型だね。

  • ​ 会社から人員整理の一環として退職を勧められた(事実上の退職勧奨)
  •  労働条件が大きく不利益に変更され、その結果としてやむを得ず退職した
  •  有期契約を繰り返し更新してきたのに、突然更新しないと言われた雇止め
  •  パワハラやセクハラが原因で勤務継続が難しくなったケース(※客観的な証拠や、継続的・具体的な事実関係が確認できる場合に限られます)
総務部部下マル
総務部部下マル

自分から退職願を書いたとしても、実態としては会社からの強い働きかけや職場環境の悪化があった場合は、特定受給資格者または特定理由離職者として扱われる可能性があるということですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

その可能性はある。最終的な判断はハローワークが行うけれど、事実の内容と証拠が大きくものを言うので、退職前後のやりとりはできるだけ記録に残しておくことが重要だ。

※この判断はハローワークが個別の事情をもとに総合的に行うため、必ず優遇される離職者になると断定できるものではありません。

自己都合と誤認されやすい注意点

総務部部下マル
総務部部下マル

よく聞くのが、「会社から退職届を書くように言われた」というケースですが、これはどう扱われるんでしょう?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

形式的には「自己都合」とされやすいが、実態として会社から強い退職勧奨があった場合には、会社都合と同様に扱われる余地がある。​
ただ、何も証拠がない状態だと、単に本人が自発的に退職したと見なされてしまうリスクが高い。

総務部部下マル
総務部部下マル

じゃあ、「言われるがままにサインした」だと、後で不利になることもあるんですね…。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そういうこと。退職の場面で不意打ちのように書類へサインを求められたときは、「持ち帰って検討します」と一度時間をとるのも自衛策の一つなんだ。​

ハローワークでの手続きの流れ

求職申込から初回認定日までのスケジュール

総務部部下マル
総務部部下マル

退職したあと、ハローワークではどんな流れになるんですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

基本的な流れは次の通りだよ。

  1. 退職後、離職票などの必要書類を持ってハローワークで求職の申込みを行う
  2. 7日間の待期期間がスタートする
  3. 自己都合の場合は、待期後に給付制限期間が加わる
  4. 一定期間ごとに「失業認定日」があり、その都度、就職活動の状況などを申告して認定を受ける
総務部部下マル
総務部部下マル

退職したら少し休んでからハローワークに行こうという人もいると思うんですが、遅く行くとその分、受給開始も遅れるんですよね?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

その通り。退職したら、できるだけ早めにハローワークで手続きすることが、受給開始を早める一番のポイントになる。​

必要書類と注意点

総務部部下マル
総務部部下マル

手続きのときに必要な書類って、具体的には何ですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

代表的なものを挙げると、次のようなものだね。​

  • 離職票(1・2)
  • マイナンバー確認書類(マイナンバーカード:マイナンバーカードを持っていない場合は、通知カード+運転免許書など)
  • 写真2枚(雇用保険受給資格者証などに使用)
  • 本人名義の預金通帳

など、ハローワークから案内されるもの

総務部部下マル
総務部部下マル

マイナンバーカードがあれば、かなり証明書類はまとめられそうですね。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そうだね。ただし、地域や時期によって運用が異なる場合もあるので、事前に最寄りのハローワークの案内を確認しておくと安心だ。​

退職理由の伝え方のコツ

円満退職しつつトラブルを避ける方法

総務部部下マル
総務部部下マル

失業給付のことを考えると、「会社都合にしてほしい」と言いたくなると思うんですが、会社にはどう伝えたらいいんでしょう?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

露骨に「会社都合でお願いします」と交渉するのは、職場関係を悪化させるリスクもあるし、場合によっては不自然に受け取られることもある。​
大事なのは、自分が置かれている状況を冷静に整理して、「退職の原因がどこにあるのか」を客観的に伝えることだね。

総務部部下マル
総務部部下マル

「本音では会社の対応に不満があるけれど、波風は立てたくない」というときはどうしたら…。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

その場合も感情的な表現は避けて、事実ベースで事情を伝えるのがポイントだ。 最終的に離職票の内容が実態に合っているかどうかがピントになる。​

トラブルを防ぐ記録の取り方

総務部部下マル
総務部部下マル

もし会社と話がこじれたときのために、どんな記録を残しておくといいですか?

総務部長オッケー
総務部長オッケー

例えば、次のようなものが役に立つことが多いね。​

  • 退職や配置転換についてのメール・チャットの履歴
  • 面談時にとったメモ(日時・場所・発言内容)
  • 配置転換や労働条件変更を通知された書面
  • ハラスメントに関する相談記録や日記
総務部部下マル
総務部部下マル

その場では「大したことない」と思っても、後で証拠になるかもしれないんですね。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

その通り。雇用保険の離職理由の判断でも、こうした具体的な記録があるかどうかで、扱いが変わることもある。​

まとめ:退職理由をあいまいにしない!失業給付を最大限に受け取るには

総務部長オッケー
総務部長オッケー

ここまで見てきたように、自己都合退職と会社都合退職では、失業給付の「開始時期」と「給付日数」に大きな違いがある。​
退職後の生活設計を考えるうえで、離職票の離職理由が自分の実態に合っているかどうかを確認することは、とても重要なんだ。

総務部部下マル
総務部部下マル

退職って、「辞める」と決めてからが本番という感じですね…。辞め方を間違えると、あとで失業給付の面でも損をしてしまう可能性があるとよく分かりました。

総務部長オッケー
総務部長オッケー

そうだね。退職を考え始めたら、まずは感情的に動く前に、制度上の仕組みを一度整理しておくことをおすすめしたい。​
そして、もし「退職を切り出すのが難しい」「会社と話すのが怖い」と感じるような状況なら、退職代行サービスなどの支援を検討するのも一案だと思うよ(※サービスの利用を推奨・保証するものではありません)。
利用する場合は、運営実態が弁護士か労働組合の退職代行を利用するのが安全だと思うよ。

総務部部下マル
総務部部下マル

部長。これで自己都合退職と会社都合退職の違いがかなりクリアになりました。ありがとうございました。

※本記事の内容は、公開時点の法令・行政情報をもとに一般的な知識を紹介するものです。個別の事情によって取扱いが異なる場合がありますので、具体的な判断や申請は最寄りのハローワーク等の公的機関にご確認ください。

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